コーヒーが脂肪の燃焼を促進してくれるという話は聞いたことはあるでしょう。どうやら、多くの研究結果から、脂肪燃焼効果はあるようだ。
でも、最近ではコーヒーには脂肪燃焼だけではない、身体に対して様々な効果があることがわかってきた。一方で、飲み過ぎによるリスクも。どんなにいいものでも、過ぎたるは及ばざるがごとし。私はコーヒーが好きすぎて、ほっとくと一日に7~8杯は飲んでしまう。まさに過ぎたる状態だ。今回は、そんなコーヒーについてのお話。
コーヒーの脂肪燃焼効果
コーヒーに含まれる「カフェイン」には、脂肪の分解を促進し、基礎代謝を上げる効果があることがわかっている。1980年ネスレ中央研究所の報告によるとコーヒー3杯分のカフェインで基礎代謝が約12%増加した。なかなか大きな違いだ。
運動機能の向上

コーヒーを摂取すると、スポーツ時のパフォーマンスが上がる。特に30分~2時間持続する運動で、その作用が期待できるようだ。実際、カフェイン入りコーヒーを飲むと中距離走(1500m走)のタイムが3秒ほど速くなることがあったということだ。競技の中で3秒といえば、かなりの差。これは、カフェインの脂肪燃焼効果と関係があるようで、運動のエネルギーとして通常糖(グリコーゲン)を燃やすところを、脂肪を動員するため、エネルギー源である糖をとっておくことができるためと考えられている。運動能力を向上させるカフェインの効果は明らかになっているため、2004年まではカフェインはドーピングの検査対象薬物とされていたくらい。以降、禁止薬物リストからは除外されたが、乱用をしてはいけないという監視プログラムに指定されてる。
覚醒作用
カフェインに覚醒作用があることは、あまりにも有名。頭をすっきりさせて集中力を高める効果が確認されている。
利尿作用
コーヒーを飲むとおしっこが近くなる、という経験をしたことがある人も多いかもしれない。コーヒーには利尿作用がある。通常、腎臓が水分を再吸収してから尿として排出するが、カフェインはその再吸収を抑制する働きをすると考えられている。だから、水分補給のためにコーヒーを飲むのは、あまり意味をなさない。
肝臓ガンのリスクを下げる
国立がんセンターのコホート調査・研究によると、肝臓がんと子宮体がんの予防になるということだ。肝臓がんに関しては、コーヒーをほとんど飲まない人と比べ、ほぼ毎日飲む人では肝臓がんの発生率が約50%に減少。さらに1日の摂取量が増えるほど発生率が低下し、1日5杯以上飲む人では、肝臓がんの発生率は25%にまで低下していたという。子宮体がんに関しても、抑制する可能性が高いというだ。
これは、コーヒーに含まれるクロロゲン酸の抗酸化作用によるものではないかと考えられている。クロロゲン酸がよいとするならば、その恩恵に授かりたい場合、コーヒーは浅い焙煎のアメリカンがよいということになる。なぜなら、クロロゲン酸は焙煎が進むにしたがって壊れてしまうからだ。
心疾患や脳卒中のリスクを下げる
コーヒーを飲むことにより、心臓病や脳卒中の発症リスクが優位に下がることがわかった。欧州心臓病学会(ESC)で発表された研究結果によると、コーヒーを1日に0.5~3カップ飲んでいる人は、まったく飲まない人に比べ、心血管疾患による死亡のリスクが17%低くなったという。また脳卒中の発症リスクは21%低かったということだ。
またクロロゲン酸は、体の中でフェルラ酸という成分に代謝される。このフェルラ酸は血小板が固まるのを防ぎ、血液をサラサラにしてくれるため、血管が詰まりにくく脳梗塞や心筋梗塞を防いでくれると考えられている。
糖尿病患者の死亡リスクを下げる
2型糖尿病の人がコーヒーを毎日飲むと、死亡リスクの低下につながることがわかった。九州大学などの研究では、コーヒーを飲んでいる人の死亡リスクは、全く飲まない人に比べて、1日1杯では19%低く、1日2杯以上では41%低いという報告がみられる。
認知症のリスクを下げる
コーヒーは、アルツハイマー型認知症の予防に役立つことがわかった。アルツハイマー型認知症は、認知症患者の約7割を占める代表的な疾患。その発症の原因とされているのが、脳細胞にできる老人斑だ。これは、神経細胞の中のアミロイドβタンパク質が集まって毒性を持ってしまったもの。コーヒーに含まれるピロカテコールという微量成分が、アミロイドβを減少させる働きをするというのだ。
また、体内でクロロゲン酸が代謝されて生まれたフェルラ酸というポリフェノールは、認知症予防に効果が見込まれる成分と考えられている。
一方で注意しなければならないのは、飲み過ぎると脳の容積が減少し、認知症のリスクが高まるという研究結果も発表されているということ。やはり飲み過ぎはいけない。

抗酸化作用
私たちの体内で絶えず発生している活性酸素は、老化や生活習慣病、ガンの原因となっている。コーヒーに含まれるクロロゲン酸は、高い抗酸化作用を持ち、活性酸素の発生や働きを抑えてくれることがわかっている。
さらに、コーヒーにはニコチン酸が含まれ、血液の流れを良くしてくれる。さらに体内でNADという物質の材料になり、このNADは細胞の修復に役立つ。つまりアンチエイジング効果だ。このニコチン酸は、深煎りのコーヒーに多く含まれる。
つまり、クロロゲン酸の効果を見込むなら浅煎りで、ニコチン酸の効果を期待するなら深煎りのほうがいいということになる。
口臭・体臭対策
コーヒーに含まれるタンニンは、口臭や体臭の原因である悪臭成分と結びつき、消臭効果がある。
二日酔い対策
飲酒によって体内に「アセトアルデヒド」という二日酔いの原因でもある物質が発生する。コーヒーはこの物質と結びついて体外へ排出されやすくなるため、二日酔いにも効果的だ。
香りのリラックス効果
コーヒーの匂いを嗅ぐだけでもリラックスできる効果が期待できる。コーヒーの香りをかぐと脳から出るα波が増加し、気持ちを落ち着かせる効果があることがわかっているのだ。
では、どのように飲むのが効果的か
朝、起き抜けにコーヒーを飲まないと始まらない、という人もいるだろう。しかしできればそれは避けたほうがいい。コルチゾールという脳の覚醒ホルモンが分泌されるのが朝8時~9時頃。コーヒーを飲むと、コルチゾールの働きを邪魔してしまうというのだ。また、空腹でコーヒーを胃に入れるのは、胃を荒らしてしまう原因になることがある。朝一番は、身体が水分不足になっている状態。できれば水や白湯がベスト。その後9時以降がコーヒーのベストタイムとなる。
脂肪燃焼効果を高めたい人は、有酸素運動または筋トレの30分前に飲むと効果的だと言われている。グラナダ大学の研究チームによると、有酸素運動の30分前にカフェインを体重1kgあたり3mg摂取させたところ、脂肪の燃焼速度が最大29%向上したということだ。
では、ミルクや砂糖は入れてもいいのか。ミルクや砂糖を加えてもコーヒーの有効成分とは関係ないが、一部の良い働きを阻害してしまう可能性はある。またミルクと砂糖は、ダイエットの観点から見てもなるべく入れずに、ブラックで飲むことをお勧めしたい。

コーヒーの飲み過ぎによるデメリット
どうだろう、コーヒーには、数多くの効果があることが知っていただいたと思う。しかしながら、飲み過ぎはかえって身体にマイナスの作用を引き起こすことがある。あくまでも「1日に適量(3~4杯程度)」がいいようだ。反省、、、。
カフェインの摂り過ぎ
不眠症や精神不安定を引き起こす場合がある。寝る前はカフェインの興奮作用で睡眠の質も悪くなってしまう。また、カフェインはそのまま胎盤を通り胎児の脳に影響を与える可能性があるので、妊婦は避けたほうがいい。
貧血のリスク
タンニンが鉄分と結びついて吸収されにくくなる。日頃貧血気味の人は、注意が必要かもしれない。
歯の汚れ
コーヒーは飲んでしばらくすると、歯にステインと呼ばれる着色汚れが発生し、歯が黄色くなったり口臭の原因になる場合がある。
胃が荒れる
コーヒーには胃液を分泌する働きがある。 空腹の状態で消化するものがないときにコーヒーを飲むと、胃液が分泌されることで胃が荒れてしまうことがある。
カルシウムの排出量が増える
コーヒーに含まれるカフェインは、カルシウムの吸収を低下させ、排出量を増加させてしまう場合がある。骨粗しょう症が心配な人は、飲み過ぎに注意したほうがいいでしょう。