サプリは効くのか?効かないのか?

マメトレ式!ダイエット(食事法)

 私はこれまで100種類以上のサプリを企画し製造販売してきた。そのお客様から最も多い質問の一つが「このサプリは本当に効きますか?」「どのくらいの期間飲んだら効きますか?」といった内容だ。そう、お客様にしてみたら、サプリを飲む目的がある。その目的が達成できるか、少なくとも目的に近づくかできなければサプリを飲む意味がない。

 サプリを薬のように思っている人もいるし、サプリなんて効くわけないって叫んでいる人もいる。

 今回は、サプリは本当に効くのか?という質問に対して、およそ20年サプリ開発に携わってきた私なりに答えていきたい。

薬かそれ以外か

 まず、サプリメントとは何なのか。実は法規上の区分にサプリメントなんてないのだ。サプリは健康食品とも呼ばれるが、そう、食品なのだ。では、食べられる状態のものは全て食品かというとそうではない。食べられるのに食品ではないもの、それは薬ということになる。

 薬(医薬品)には、処方箋医薬品、一般用医薬品、医薬部外品がある。医薬品は、病気の治療を目的としたもので、一定の効果と安全性が認められ、厚生労働大臣に製造販売承認を受けて、日本薬局方に収載される。処方箋医薬品は、医師の処方箋に基づき薬剤師の調剤により処方される医薬品。一般医薬品(OTC)は、薬局やドラッグストアで購入できる医薬品のことだ。医薬部外品は、特定の有効成分が配合され、緩やかな作用が認められているもの。副作用のリスクは少ない。どちらかというと治療というより予防を目的としている。

 サプリは薬ではない。食品なので、身体に対する特定の効果が認められていない。法律で認められていないので、真実はどうあれ、特定の効果を謳うことはできない。だから、目が良くなるとか、頭が良くなるとか、痩せられるとか、膝の痛みが減るとか、飲むことによって身体の変化が起こるようなことを言ってはいけないのだ。ということは、お客様から「これは効くの?」と聞かれたら、仮に実際に“効いた”人がたくさんいたとしても「効く」とは答えられない。

でも、おなかの脂肪を落とすって言ってるサプリあるよね?

 「あれ?でも、目に良いとか、脂肪が減るって言ってるサプリやお茶を見たことあるけど?」と思ったでしょ?そう、食品の中には、保健機能食品といって機能を表示することが許された食品が存在する。保健機能食品は、次の三つに分類されている。また、特別用途食品という特別の用途の表示が許可された食品がある。

特定保健用食品(特保・トクホ)

 生理学的機能などに影響を与える保健機能成分を含む食品で、特定の保健の目的が期待できる旨を表示できる。機能性表示食品ができる前は、このトクホが幅を利かせ、こぞって大手がトクホを販売した時期があった。しかしこのトクホの承認を得るためには、それなりの時間と中小の会社にとっては膨大ともいえる費用がかかった。2009年より取扱いが厚生労働省から消費者庁に移った。

栄養機能食品

 健康の維持に必要な特定の栄養素の補給のために利用されることを目的とした食品で、科学的根拠が充分にある栄養機能について表示することができる。12種類のビタミン(A、B1B2B6B12CEDナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチン)、5種類のミネラル(鉄、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、銅)の含有量が国の基準を満たしているものであれば、届け出や審査を受けることなく、定められた栄養機能表示を付けることができる。

機能性表示食品

 食品の機能性を謳える分野に、トクホと栄養機能食品しかなかったところ、平成27年4月に新たに誕生したのが、機能性表示食品。事業者が食品の安全性と機能性に関する科学的根拠などの必要な事項を、販売前に消費者庁に届け出れば、機能性を表示することができる。特定保健用食品(トクホ)と異なり、国が審査を行わないので、事業者は自らの責任において適正な表示を行う必要がある。ただし、届け出れば安易に認められるものではないし、費用も手続きもトクホほどではないにせよ、まあまあかかる。

 しかし今、この機能性表示食品が爆発的に増えている。むしろ、機能性表示食品でなければサプリメントを売ることが難しいと言われるくらいだ。

特別用途食品

 乳児、妊産婦・授乳婦、病者など、医学・栄養学的な配慮が必要な対象者の発育や健康の保持・回復に適するという「特別の用途の表示が許可された食品」。消費者庁の許可が必要。

エンプティカロリーの蔓延

 エンプティカロリー食品とは、カロリーが高いのに、身体に有益な栄養素があまり含まれていない食品のこと。例えば、カップラーメン、菓子パン、スナック類、ケーキ類、アルコール、その他加工食品やジャンクフードなど。こういった食品は、日常にあふれている。一日に必要なカロリーをこれらの食品で摂っても、身体にとって本当に必要な栄養素を充分に摂取することができずに、栄養失調になってしまうという事態が増えてきているのだ。

 ダイエットをする場合、一日の摂取カロリー < 一日の消費カロリーにするというのが常識だ。ある意味真理とも言われ、これを守れば確かに体重は減る。しかし、健康的に痩せられるかというと、それは確実とは言えない。カロリーは減らしても必要な栄養素を充分に摂取できないと、本当の意味での健康や美しさからは遠のいてしまう。

 実は私も昔、朝食を抜いて、昼は好きなものを食べ、夜はビールとちょっとしたつまみだけ、というダイエットをしたことがある。確かに痩せた。また、それを自慢気に周囲に話してもいた。確実に痩せてツラくないダイエットだぞ、と胸を張った。しかし、どうだろう。事実、体重は減っても、決してカッコいい体つきとは言えず、疲れやすく、ちょっとしたことで風邪をひいたりしていた。

 今も、ダイエットに取り組んでいる、という人からの相談に際し食事内容を聞くと、朝は食べないか、食べても食パン1枚やシリアル、目玉焼きなどで済ませ、昼はコンビニの春雨スープとサラダ、ヨーグルト、夜は炭水化物や揚げ物を控えてカロリーに気を付けている、といったパターンをよく耳にする。また、食事を我慢してカロリーを抑えている分、コンビニのデザートを食べ、それでも摂取カロリーは低くて済んでいると安心している人もいる。これでは、仮に一時的に体重が減っても、健康的に美しさを保つことはできない。また、太りやすい体質になることが多く、リバウンドを繰り返してしまう可能性も非常に高い。何より、栄養不足による体力の低下や免疫力の低下も心配だ。

サプリの役割

 そのような場合、栄養補助食品であるサプリメントが多少役に立つ。栄養素の面でエンプティカロリーを補うことができる。ただし、それ以前にまず日常の食事でエンプティカロリーを見直す必要がある。サプリで栄養を摂取するより、優先されるべきは日常の食事から充分に栄養を補給すること。それを目指すことが第一だ。それでも不足する栄養素が出てきたとき、サプリで補うという考え方がよい。

 例えば、1日にタンパク質は体重(kg)×1.5g以上(厚労省の推奨は体重×1g以上)を摂取することが望ましいが、日常の食事から充分に摂ることができないことがある。体重60kgの人の場合、90gのタンパク質ということになるが、肉だけで摂ろうとするとおよそ450g食べる必要があります。もちろん、魚や納豆、卵などその他の食材を合わせて摂れればいいのだけれど、なかなか難しい。そのようなときにプロテインでタンパク質を補うことは有効だ。同様に、ビタミンCやビタミンB群、鉄分なども通常の食事からだけだと不足気味になることが多い。そこでサプリを使うことはとても意義がある。つまり、足らない栄養素をサプリで補給するという使い方だ。

 一方で、サプリが効くのか、効かないのか、という問題。この質問をする人から浮かび上がるのは、ある具体的な目的のためにサプリを飲んでいる人がほとんどということだ。関節の痛みを和らげるため、体重を減らすため、肌荒れをなくすため、筋力アップするため、よく眠れるため、などなど。これに関しては、サプリはあくまでも薬ではないということ。飲んでも治療することにはならない。だから、その目的に対して効く、効かないは、まさに個人個人の感じ方の違い、つまり個人差があるとしか言いようがないだ。トクホも機能性表示食品でも一緒。これは、ショウガを食べたら体がポカポカした、ハーブティーを飲んだら気持ちが落ち着いた、コーヒーを飲んだら目が冴えた、芋を食べたらお通じがよくなった、といったことの延長線上にあるのだ。

 前述のように、保健機能食品であれば「おなかの調子を整えます」とか「LDLコレステロールを下げるのをたすけます」「体脂肪を減らすのをたすけます」「睡眠の質を高めます」などの表示が可能だ。ただし、同種類の食品を摂るならこちらの商品のほうが比較的この目的に対して効果的だよ、くらいに捉えたほうがいいかと私は思っている。例えば、体脂肪を減らすのをたすけるという清涼飲料水を1日に1リットル飲むのと、通常のコーラを1日に1リットル飲むのでは、体脂肪が増えるか増えないかという観点からは、前者のほうが増えないだろう。しかし、それが健康に寄与するのかどうか甚だ疑問であり、代わりに普通の緑茶を飲んだ方が体脂肪を減らすのではないかとすら考えてしまう。腸内の環境を改善し、おなかの調子を整えます、という乳酸菌飲料にしても、原材料を見ると、ぶどう糖果糖液糖(国内製造)、砂糖、脱脂粉乳、香料だ。その乳酸菌は確かに腸内の環境にいいかもしれないが、ブドウ糖果糖液糖を筆頭とする材料で作られた甘い飲料を毎日飲んで、健康に寄与できるのかは疑問を持たざるを得ない。

サプリの効果的な使い方

 ここまででお分かりの通り、サプリは魔法の薬ではない。でも、私たちの健康増進や目的に向かって一助になることは確かだ。そのためには、きちんとしたサプリを選ぶことが大事になる。まず注意したいのは、有効成分(主要成分)の配合量。それぞれの成分には、その働きが充分に期待できる摂取量がある。主要成分の配合量はそのまま製造原価に大きく関わるから、ユーザに胸を張って言えるほど成分を配合している場合は、パッケージや広告に配合量が記載されているケースが多い。それをまず確認してほしい。記載がない場合は、ほんの少しだけの配合で、○○○を配合!などと大々的に謳っているケースもある。

 サプリの飲み方には、食前にとか食後に、といった表示がない。だからお客様からの問い合わせも多い項目だ。サプリは食品だから、いつ飲んだらいいかを記載してはいけない。ユーザの立場から考えれば、おススメの飲むタイミングなどは言ってもいいとは思うけどね。一般的に、オイルタイプのもの(カプセルに入ったEPA・DHAなど)は、食後が吸収されやすい。ビタミンは身体に溜めておけないので、こまめに摂ったほうがいい。アミノ酸は、朝、一日の活動前や運動の前後がおススメ。その他、基本的にはいつでもいいのだが、迷ったときは夕食後がおススメだ。

 サプリを効果的に使う上で最も重要なことは、「サプリはあなたの理想、求める状態を得るために少しだけ助けてくれる存在である」ということを認識するということ。飲むだけで、体重が-10kg!とか、脂肪が無くなるとか、肌がプルプルになる、ということはほとんどない。それを実現するためには、適切な食事や生活習慣が必要だ。そして、そこに適切なサプリが加われば、あなたの目的がより早く近づくかもしれない。もし、あなたの生活習慣や体質に合ったものであれば、それを大きく後押ししてくれることも期待できる。そんな存在だ。

 あなたに合ったサプリに出会えますように。

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