「そのとき体が必要な栄養素を、体が欲しがり食べたくなる」
そんなことを聞いたことないですか?
そもそも人間は動物なので、
本能で必要な栄養素を求めるというわけ。
つまり、塩分が必要なときは塩っ辛いものが食べたくなるし、タンパク質が必要なときは肉が食べたくなる、と。確かに、水分が足らない時にノドが渇くのはほぼ全員が経験してることだろう。
しかし、甘いものはどうだろうか。
「甘いものは別腹!」
なんて胸張っている人もいるほど。
どう考えても甘いものを欲しい時はいつも体が砂糖を必要としている時とは思えない、そう思いませんか?
もしそうなら、余分に摂り過ぎて肥満になるなんてことはそうそう無いはず。でも、私たちは砂糖の摂り過ぎで簡単に太る。
ええ、そりゃもう、いとも簡単に。
では、なぜ甘いものが食べたくなるのか?
しかも、いつも、いつも、いつも!
まずは栄養素という観点から見てみよう。摂取された糖はすばやく分解され、血液によって肝臓や筋肉に運ばれ、エネルギー源として使われる。脳でも分解されたブドウ糖は重要な栄養素となる。
つまりエネルギーとして体に必要だから欲しくなるということ。
これは、体の中で使い道がある糖。使い切る分だけ摂っている分には、まったく問題ないわけだ。使う分だけなら、、、。
でも甘いものつまり砂糖には、栄養素とは別の働きがあるようだ。
甘いものを欲しがるのはホルモンのせい?
しかし、これだけでは説明がつかないほど、人は甘いものを欲しがる。
ボクなんかは、理性で食い止めなければ、毎食後とおやつに甘いものがあってもいいくらいだ。
なぜそんなに欲しくなるのか。そこには、ホルモンの分泌が関係しているようなのだ。
砂糖を摂取すると「ドーパミン」という神経伝達物質の分泌を促す。
ドーパミンは、脳内ホルモンのひとつで快楽ホルモンなどとも言われる。ほめられた時、感動した時などは活性化して快楽を感じるというわけ。また、刺激を受けたドーパミンが今度は低下するとイライラを感じてしまう。
どうやらここに、甘いものを続けて欲しがる理由があるようだ。
さらにやっかいなことに甘いものはβーエンドルフィンを増加させるらしい。
βーエンドルフィンは、別名脳内麻薬(脳内モルヒネ)と呼ばれる神経伝達物質。
勝負ごとに勝った時、セックスの時、高カロリーの食事を摂った時などに分泌される。このβーエンドルフィンの多幸感ときたら、ドーパミンの20倍もあるらしい。ギャンブルから抜け出せなくなるのも、このβーエンドルフィンが関係してると言われている。
βーエンドルフィンにはとても強い依存性があるのがわかる。
ラットをもちいたある実験によると、甘いものの中毒性はコカインより強いことが明らかになったということだ。
人工甘味料はどうなのか?
さてここまで、甘いものと砂糖をごっちゃにして話してきた。
必要な栄養分とは別に脳が欲しがってしまうのは、
「甘いもの」
ということは、人工甘味料でもいいということになる。
味覚として甘いものを欲しがるのだから。
人工甘味料は、そのまま人工的に作られた甘み成分。カロリーの心配はない。その甘みは、ショ糖(砂糖の主成分)の数十倍から数百倍。
砂糖なら、摂り過ぎはいけないとはいえまだ栄養素になりえる。
その点人工甘味料は怖い。体にどんな影響を及ぼすか未知数なうえ、甘いものの中毒性だけは強烈なのだから。実際、人工甘味料のサッカリンやズルチンはさんざん使われた後、発がん性があることがわかり、その後使用が禁止された。サッカリンはその後、やっぱ人間には発がん性がないみたい、と使用が許可されたが使用上限が設けられている。
ちなみに私は、健康食品の企画に関わって18年以上になるが、ダイエット食品として販売したものは、どれだけ「やせる」結果をサポートできるものでも、甘くないものはあまり売れなかった。
やはり理性では抗えない何かが作用しているようだ。