カレーで脳が活性化するのは本当か

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胃薬はカレーの味

 言わずと知れたカレーにはたくさんのスパイスが使われている。そのスパイスは、漢方・生薬と共通する素材が多く見受けられる。事実、胃薬をカレーに入れると美味しくなると言われることもあるが、これは含まれる成分がおおよそ似通っているから。胃薬=ガラムマサラと言ったら言い過ぎか。だから、カレーに何かしらの薬効がある、生理的作用があると言われても納得がいく。

 実際は、医薬品としての漢方はその製造方法が違うので、カレーが薬の代わりに病気のを治癒するといった期待をするのは間違ってる。しかし、カレーに含まれるスパイスが体に対してある一定の影響を及ぼすのは間違いないようだ。

 まあ、カレーでなくても食事が身体に大きな影響を与えるのは真実。それならできるだけいい影響をいただきたいものだ。

カレーが脳に与える影響

 日本薬科大学教授の丁宋鐡医師の報告によると、カレーが脳に及ぼす作用について研究していく中で、カレーを食べると脳内の血流量が増加して、集中力や計算力が上がるということが分かった。カレーを摂取すると脳内の血流が2~4%増え、それにともない脳波を調べると、情報処理を担当する部分の働きが活発になっていたということだ。

カレーの何が脳にいいのか?

 前述の通り、カレーは多くのスパイスからできています。他にも肉、野菜、油などの構成要素はあるが、特徴的な材料はスパイス。それがないと、炒め物やシチューでも同じになってしまう。とすると、カレーの何が脳を活性化するのかを考えたときに、それはスパイスでしょう、となるわけだ。

 ただし、スパイスといってもカレーに使われるスパイスは多種多様。複合的な力で能力を発揮しているのかもしれない。そんな中、脳活性について注目されているスパイスがある。それが「ターメリック」だ。カレーの象徴的な色である黄色を出しているのが、ターメリックというスパイス。別名うこんとも呼ばれる。

注目されるターメリック

 東大出身の医学博士、吉田たかよし氏は著作「なぜ東大生はカレーが好きなのか」の中で、カレーに含まれるターメリックの脳に対する作用について述べてる。認知症治療の専門医、白澤卓二氏は、クルクミンが、脳由来の神経栄養因子を増やすから週に3~4回はカレーを食べるそうだ。

 私と交流があった永田農法の創始者である永田先生には、これがボケの防止に役立つんだと庭先で育てていたうこんを見せてもらったことがある。

 さらに、以下に挙げる論文をはじめ、多くの研究結果が報告されている。

「カレースパイス成分のクルクミンがアルツハイマー痴呆を予防する」富山医科薬科大学和漢薬研究所薬効解析センター 東田千尋氏

「カレーに含まる成分が、脳の働きを阻害しアルツハイマー病を特徴付けるタンパク質を吸収する免疫細胞を、活性化する可能性がある」カリフォルニア大学ロサンゼルス校 ミラン・フィアラ博士

「カレーを頻繁に食べている人は認知症になりにくい」シンガポール国立大学 ツェ‐ピン・ノグ准教授

などが一例。

そのほとんどが、ターメリックに含まれるクルクミンというポリフェノールに注目している。

クルクミンとは?

 クルクミンは、カレー粉の中に含まれるターメリック(うこん)の成分。抗酸化や肝機能を向上させるなど複数の効能があると言われている。また、脳機能を向上させるとも言われ、アルツハイマー病に関する研究が世界中で注目されている。

 その機能は国内でも広く認められており、クルクミンを食品(サプリメントなど)に一定量配合し消費者庁で認可を受ければ、機能性表示食品として以下のような文章を記載することが許されている。

クルクミンは年齢とともに低下する認知機能の一部である記憶力(日常生活で生じる行動や判断を記憶し、思い出す力)や注意力(注意を持続させて、一つの行動を続ける力)を維持する機能があることが報告されています。

クルクミンが認知症予防になる?

 アルツハイマー型認知症は、「アミロイドβ」と呼ばれるたんぱく質が脳に蓄積することで神経細胞の破壊を引き起こす。アミロイドβは50歳を過ぎたころから蓄積されると言われ、認知症が発症するまでには、一般的には20~30年ほどかかると言われている。クルクミンは、その原因となるアミロイドβが脳に蓄積するのを抑制する働きをすることが研究によりわかっているのだ。

 日本の高齢者(65歳以上)人口は、2021年で約3640万人。全体の人口のおよそ30%。その割合は、世界でダントツのトップだ。2012年には約460万人だった認知症患者数は、2025年には高齢者人口の20%、およそ750万人くらいにのぼるだろうと考えられている。以降も右肩上がりで増えていくことが予想され、誰がどう考えても最も大きな社会問題の一つだ。

カレーを食べよう

 クルクミンの脳機能や認知症予防に対する働きは、世界中で非常に多くの専門家が研究し発表されている。一方で残念なことに、クルクミンは水に溶けにくく、体に吸収されにくい成分だ。吸収しやすくするために、黒コショウの成分ピぺリンやレシチンとともに摂取させたり、油で包んで吸収させようとしたり、サプリメントメーカーは各社工夫をこらしている。

 そこで、カレーの出番だ。油、黒コショウ、豆、どれもカレーの材料として使われるものばかり。それによって、クルクミンがどの程度吸収されるのか有効なのかは不明だが、カレーを遠ざける理由にはならない。

 実際、ターメリックを含むスパイス料理を日常的に食べるインドでは、アメリカと比較してアルツハイマー型認知症の発症率が1/4というデータもある。

 カレー好きな私は、声高に言いたい。

  カレーを食べよう!
  私たちのために!
  日本の未来のために!

 特に、南インドの魚カレーや豆カレーは、小麦粉や動物性油脂が少な目でおすすめ。

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